第13回自然科学研究機構シンポジウム
日本のエネルギーは大丈夫か?
~ E=mc2 は人類を滅ぼすのか、救うのか・・・ ~
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2012年9月29日(土)10:00~17:00
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会場 :
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名古屋市千種区吹上二丁目6番3号
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http://qloco-style.co.jp/nins/
に行ってきました!
もう少し、原発に対する白熱した議論を予想していましたが、
先生方は冷静に現実を見つめ現状を憂いているといった感じでした。
私としては、まずは3.の火力発電の効率を最大限に高めるのが急務、
→第1、第2世代の古い原発を即刻廃止し、安全度を天秤にかけながら徐々に原発依存度を下げ、その間に核融合発電を立ち上げる。というのが現実的なんだろうと思いました。
以下、私の理解レベルでの抜粋
(素人が聞いて分かる範囲でまとめましたが、必ずしも正しい説明でない場合はご容赦下さいませ。)
1.太陽活動が停滞期に入ってきており、過去の事例から気温の低下が見込まれる
観測衛星「ひので」による太陽の黒点の観測により黒点の数が減少
→太陽の磁場が通常の2極から4極になる停滞期入りが観測される
<国立天文台 常田先生>
2.石油は化石燃料でない可能性が
高いある
宇宙観測の手法で見てみると、石油には地下深くに存在するヘリウム3が含まれており
化石由来の燃料であるという決定的証拠はなくむしろ地下から沸いて出た可能性も。
<国立天文台長 林先生>
----以下、同行友人ご指摘により追加 >Thanks N氏-----
>2は化石燃料との考えが一般的
>→「高い」ではなく「可能性がある」位では。
>研究(それ以外でも)は客観的事実やデータを
>集めて、そこから新たな仮説を立て検証していく。
>石油を例にとっても化石燃料無いとの意見も考えられる。
>今の原子力発電に対する一般の感情論は如何なものか。
>そこにつながるプレゼンだと思います。
3.再生可能エネルギーでの原発代替は困難→火力発電の効率を高める事が最重要
火力発電における第1世代(蒸気タービン・効率40%)に加え、第2世代(ガスタービン発電・効率+15%)、第3世代(固体酸化物燃料電池SOFC・効率+10%)を用いトリプル複合発電とする事で、発電効率を40%→65%高める事が出来る。
原発の再稼働が難しい現状では、このトリプル発電化を政府補助で行う事が急務で、膨らむ石油/天然ガスの輸入を大幅に押さえる事が可能となる。
一方、政府が推し進めている2大再生可能エネルギーである太陽光発電、風力発電は
太陽光は天候の悪いときや夜間に発電出来ず、年間の実稼働率は12%程度、風力も同じように常に発電出来ないため年間実稼働率は22%程度。
この稼働率の低さから、発電所の最大発電容量を稼働率が高い単純に火力、水力、原子力と比較してはいけない。
これに水力を足してもせいぜい15%ー20%程度が限界で、
原発の担う35%を代替えすることは困難との事。
地熱は稼働率が80%程度で有望だが、まだまだ普及が進んでいないのが現状との事。
<東大 金子先生>
3.3.5世代以降の原子力発電所の安全度は相当に高く、原子力発電はコントロールしうるものである。
東日本大震災での悲劇を生んだ福島第1原発は第1世代で、第2世代であった第2原発は同条件にもかかわらず事故を起こさずに済んだ。このように古い原発を放置して廃棄せずにおいた事が問題なのであって、政府の原発廃止の政策は明らかに行き過ぎている。
きめ細かい日本人であればこそ、核はコントロールしうるものと信じる。
<京都大 山名先生>
4.核廃棄物を最小化する研究が進んでいる
1tの核廃棄物を再利用可能な部分と分離し50kgを再処理し廃棄する事で、
将来的に5%程度に核廃棄物を減らす研究が進んでいる。
再処理にあたって、超伝導陽子加速器により陽子ビームを照射する事で、
未臨界状態での核分裂の連鎖反応を応用し長寿命の核種を単寿命の核種に変換する技術が実用化に向け研究されている。これが実用化されれば、核廃棄物を大幅に削減する事が可能となる。
<日本原子力研究開発機構 大井川先生>
5.核融合エネルギーの実用化は2050年をメドに着々とすすんでいる。
夢のエネルギーといわれる「核融合発電(太陽と同じ原理)」(原発は核分裂)の研究はかなりのところまで進んでおり、すでに4ヶ国(日本、欧州、米国、ロシア)共同プロジェクトとしてITERという50万kW発電可能な原理発電所の建設へ向けてすすんでいる。
日本のエネルギー政策の未来を担う事からこの実用化を進めるのは急務。
<日本原子力開発機構 多田先生>
----以下、同行友人ご指摘により追加 >Thanks N氏-----
>核融合は実際には実用化は厳しい状態だと思います。昨今の
>歳出削減の折、研究費が十分でないようです。東日本大震災
>の復興費で核融合の実験費を賄っているようです。
6.核融合エネルギー発電の方式は複数研究されている。
物理的に解明されていない部分の多い核融合発電において、
高温のプラズマを閉じ込める事が最大の課題。
その方式として、5のITERで採用されているトカマク方式に加え、より最適な方式であると考えられるヘリカル方式の装置も平行して研究されており、25-30年後の実用化を目指している。実験プラントはすでに作られている。
<自然科学研究所 小森先生>
とどのつまり、日本のエネルギー政策を考える上で、
原発の廃止はあきらかに非現実的である。
東日本大震災での原発事故によるアレルギーにより、広島/長崎の原発とすら
比較されてしまうが、全くの別物であるのは明白。
このまま、原発を廃止すれば、日本のエネルギーは非常に高騰するだけでなく、
中部地区であれば一度、ホルムズ海峡を閉鎖されれば、1週間で送電が停止する事態を招くとの事。(保存の関係で天然ガスの備蓄は1週間しか出来ない)
政府、国民の冷静な判断を…
というのが、最後のパネルディスカッションの論点だったと思います。
----以下、同行友人のご意見 >Thanks N氏-----
>全体の感想ですが、研究者にはコスト感覚は必ずしも
>必要ないと思います。しかし、研究者から研究所をまとめる
>立場になった先生方にはコスト感覚を持ってほしいですね。